受験に必要な母親の心構え、口は出さずに子どもを信じる|ビリギャル小林さやかさんインタビュー【後編】

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2013年に出版され、累計120万部のベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴著)のモデルである小林さやかさん。

小林さんは、高校2年生の夏までまったく勉強しておらず、タイトルどおり「学年ビリのギャル」だったそうです。それが、慶應大学への入学を果たすまでになったのは、個別指導塾への入塾がきっかけでした。

インタビュー後半では、先生やお母さんの支えなどご自身の経験をふまえて、親が子どもの受験勉強にどう向き合うかについて語っていただきました。


インタビュー前編はこちら
受験に必要なのは「ティーチ」ではなく「コーチ」|ビリギャル小林さやかさんインタビュー【前編】

勉強すればするほど不安になる

――――学力が上がっていると実感できたのは、いつ頃からだったのでしょうか?

高3の夏ごろ、学校の定期テストで、英語と日本史で満点を取り、総合で学年3位になったんです。

実は、坪田先生には「高3の夏までは基礎固めをするから偏差値は上がらないと思うよ」と事前に言われていたので、偏差値が上がらなくても焦らず、ひたすら先生の組んだカリキュラムに取り組んでいました。

だから、「先生が言っていたことは本当だったんだ!」とうれしくなりました。
基礎をしっかりと固めれば、結果が必ずついてくるのだと実感できた瞬間でしたね。

――――それでは、勉強でスランプに陥ったことはなかったのでしょうか?

いえいえ、何度もありました。

不思議なことに、勉強ができるようになればなるほど不安になるんです。というのも最初は「慶應」というゴールまでの距離が遠すぎて、自分が挑んでいる壁がどれだけ高くて厚いのかが見えていなかった。

でも、その壁がどんどん近づいてくるにつれ、想像以上に高くて厚い壁なのだと思い知ったんです。模試もE判定からなかなか抜け出せず、「どうして慶應目指すなんて言っちゃったんだろう……」なんて後悔して落ち込んでいたりしましたね。

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――――そのような時は坪田先生に相談していたのですか?

はい。先生は、いつも私のグチを聞いてくれて、「そんなこと言うなよ、大丈夫だよ」と励ましてくれていたんですが、一度だけ突き放されたことがあったんです。

私が

「もう慶應じゃなくて明治大学でもいいかな」

と言ったら、

「それなら今すぐやめたほうがいい。そんなようじゃ明治にも受からないから」と返されて。

ショックで泣きながら家に帰り、3日間塾を休みました。

――――そこからどのようにしてやる気を取り戻したのでしょうか?

結局、どうしたらいいのかわからなくなって、先生に電話したら、「慶應を見学しておいで」とアドバイスされ、母と一緒に慶應大学のキャンパスに足を運びました。

他の大学も見に行ったんですが「やっぱり慶應がいい! ここじゃないとダメなんだ」とあらためて感じたんです。それでやる気を取り戻し、翌日からまた塾に行きはじめました。

母が渡した封筒の重み

――――お母さんも受験勉強を支えてくれていたのでしょうか?

母にはあらゆる面で支えてもらっていました。

父には「お前に慶應なんて無理に決まってる。授業料をドブに捨てるようなもんだ」と言われていたので、塾の授業料は母がすべて工面してくれていたんです。

高3のはじめに、塾に行く日を増やすため週6日コースに変えた時、母が授業料を封筒に入れて持たせてくれた時のことは今でも忘れられません。

母は専業主婦だったので自分のお金がなくて、子ども3人分の学資保険を解約し、親戚に頭を下げてお金を借り、それでも足りなくてパートに出てまかなってくれたんです。おそらく150万円ぐらいあったのではないでしょうか。

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塾に行って、先生に封筒を渡したら、もう一度封筒を持たされ、

「さやかちゃん、このお金の重み、忘れるなよ」

って言われたんです。

それで一気にスイッチが入りましたね。

「お母さんがこれだけ頑張ってくれているんだから私も頑張ろう。浪人は許されない」って。

勉強がつらくなるたびに、あの封筒の重みを思い出し、塾と家、合わせると1日15時間ぐらい勉強するようになりました。

――――精神的にもお母さんが支えてくれていたんですね。

私が勉強を続けられたのは、「私だって頑張ればできる」と信じられたから。
その土台になっていたのは、自己肯定感

受験には自己肯定感という「土」と、やる気を起こすきっかけになった「種」が必要だと思うんです。私の場合は、種をまいてくれたのが坪田先生で、土を耕してくれたのが母でした。

私の母は、「テストでいい点が取れた」といったことではなく、「あなたが笑顔でいてくれるだけで幸せなのよ」と私の存在そのものを毎日褒めてくれていました。

そのおかげで、自分自身に価値があると思えたし、自分の可能性を信じられたんです。

受験は、地頭の良さではなくメンタル勝負。子どものメンタルを支えるために、親のサポートは欠かせないと思います。

親はプレイヤーではなくサポーター。口は出さずに子どもを信じる

――――子どもの勉強を支えるために、親にはどんなことができるのでしょうか?

必要なのは、「邪魔しないこと」です。

親に「勉強したって、〇〇大学は無理よ」と言われ続けたら、やる気は落ちるし成績もどんどん下がるでしょう。

親としては、「失敗して傷ついてほしくない」という思いから言ってしまうこともあるかもしれません。
でも、受験するのは親ではなく子ども。親はプレイヤーではなくサポーターです。

大事なのは、口を出すことではなく信じてあげることだと思うんです。

私の母は、勉強には一切口を出さなかったけれど、勉強中に夜食を持ってきて「えらいね。頑張ってるね」と励ましてくれていたので、いつも見守って応援してくれているという安心感がありました。

それに、母から「今日は塾でどんな勉強をしたの」と聞いてきたことはありませんでしたが、私から話すと真剣に聞いてくれた。

たとえば、

「英語の長文でこんな内容の話を読んだよ」

と話すと、

「おもしろいね。その後どうなったの?」

と興味を持って聞いてくれるので、ますます得意になって話すんです。

このように、子どもが主役になれる「ヒーローインタビュー」を1日10分でいいのでぜひやってあげてほしいですね。

子どもが興味を持ったことに、うなずき、あいづち、質問をしながらしっかり聞いてあげる。
こうやって親に聞いてもらうことでやる気もアップしますし、知識の定着にもつながると思うんです。

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「Youメッセージ」を「Iメッセージ」に

――――子どものやる気を起こさせるにはどうすればよいのでしょうか?

私は、高校でのインターンを経験したり、現在は大学院に通って教育について勉強していますが、そこで感じるのは、子どもは親が思っている以上に目的や意味を大事にしているということ。

たとえば、

「どうして、サイン、コサインをやらないといけないの?どうせこんなの将来使わないでしょ」

と聞かれた時に

「いいから覚えなさい」

と言っても、子どもはやる気になりません。

だから、勉強に意味を持たせてあげるといいと思うんです。

ただ、その際に気をつけてほしいのが、「Youメッセージ」ではなく「Iメッセージ」を送ること。

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「あなたは勉強すべき」「あなたは〇〇大学に行くべき」といったように、「You」が主語のメッセージを言い続けると、子どもは思考が停止してしまい、自分で考え行動することができなくなってしまいます。

「私はあなたに勉強してほしいと思っている」といった「I」を主語のメッセージに言い換え、さらに、「なんで勉強してほしいかというと、知らないことを知るのはすごく楽しいからだよ」と、会話を広げてみてください。

「お母さんは、本で調べて新しい料理を作ってみたよ」

とか、

「あまりしゃべったことのないママ友と話してみたらすごく楽しくて。知らないことを知るって大事だと思ったんだけど、あなたはどう思う?」

と問いかけてみる。
すると子どもからも「Iメッセージ」が返ってくると思うんです。

こういった「Iメッセージ」のキャッチボールによって、親子のコミュニケーションが育まれ、子どもは自分で人生を切り開く力を身につけられるようになると思うんです。

――――3月に発売された小林さんの初の著書『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』にも、子どもたちに向けて「自分の人生は自分で決めていいんだよ」というメッセージがこめられていますね。


私は大学受験がすべてだとは考えていないんです。

もし、わくわくすることがあるなら、受験をしないでその道に進めばいい。でも、わくわくすることが見つかっていないなら、受験してみるのも一つの方法。

私自身は慶應に入って、多くの人と知り合ったことで世界が一気に広がり、人生が変わりました。

あのまま地元で就職していたら、この人生を送ることは絶対になかったでしょう。

それに、死ぬ気で頑張って勉強した経験は、私の人生において大きな自信になっています。
お母さん、お父さんには、ぜひ、子どもたちがわくわくすることを見つけて頑張る姿をそっと見守り、応援してあげてほしいなと思います。

――――小林さん、ありがとうございました。

公開日:2019.06.19

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