地頭は関係ない、どんな子でも必ず伸びる。学年ビリのギャル(ビリギャル)を慶應合格に導いた坪田先生の指導方法とは?

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塾に通わせているのに成績が上がらない。本人に全然やる気がない。
我が子の「勉強」をめぐる親の悩みは尽きません。

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)の著者である坪田信貴先生は、塾講師としてこれまで1300人の生徒を指導。ビリギャルはじめ、多くの生徒の偏差値を劇的にアップさせ、志望校合格に導いてきました。

今回のインタビューでは、先生が塾長を務める坪田塾での指導法や子どものやる気を引き出す方法、親の心構えや良い塾の選び方についてうかがいました。

1日1分からでいい。一人で勉強する習慣を

―――坪田塾は、「個別指導を超えた『子別指導』」を謳っていますが、どのような指導をするのでしょうか。
坪田塾では、「机の横でつきっきりで指導をする」というスタイルは取っていません。なぜなら、「先生がいないと勉強ができない」のでは意味がない。「一人で学習を進めていけるようにする」ことが重要だからです。

入塾したらまず、すべての生徒に学力判定テストを受けてもらいます。そして、学力判定テストの結果を見て、現在の学力レベルを把握し、そのレベルにあったテキストで学習を開始します。

たとえば、『ビリギャル』のモデルである小林さやかちゃんは、入塾当時高校2年でしたが、小4レベルだったのでそこまで戻って学習しました。
また、入塾時には性格診断テストも受けてもらって、どのようなタイプのお子さんなのかを把握し、その子の性格にあった指導法でやる気を引き出していきます。



――――どうやって一人で学習を進めていけるようにするのでしょうか。
学力判定テストの結果を見て、6割正答できるレベルのテキストを選びます。テキストのレベルは細かく分けており、一つのテキストにつき20回分ほどのオリジナルのテストを用意しています。
講師が教えるのは、このテキストでの勉強のやり方。それに従って、家でテキストを勉強し、その範囲のテストを塾で受ける。毎回定期テストを受けるようなイメージですね。

テストは講師が採点し、分からないところや、正解でも理解があやふやなところをチェックして、生徒とともに確認。その際も、講師は答えを教えるのではなく、ヒントや調べ方を教えて生徒が自分で正答にたどり着くように導きます。
そして、70点以上取れたら次の範囲に進み、70点以下であればもう一度同じ範囲を勉強して再テストを受けます。

だから、「一人で学習できるようになる」というよりも、「一人でやらないといけない仕組みになっている」というのが、正しい表現かもしれません。
―――どんな生徒でも、一人で勉強できるようになるのでしょうか?
習慣が身につくまでの時間には個人差はありますが、続けていれば必ず学習スタイルが身につきます。
勉強嫌いの子なら、まず1日1分からでもいいと僕は思います。

勉強の習慣というと、「机に向かって毎日2時間勉強する」などと考えがちなのですが、これは、筋トレをしたことがない人に「毎日ジムでハードトレーニングしろ」と言っているようなもの。ハードルが高すぎます。
最初はソファに寝そべりながら1分間教科書を読むだけでいい。これを徐々に増やしていくのです。

地頭は関係ない。どんな子でも必ず伸びる

――――勉強していても成績がなかなか上がらないケースもあるのでしょうか?
坪田塾では、生徒本人のレベルに合った勉強をするので、学校の定期テストでの成績はすぐには上がらない可能性があります。
もし、学校の成績をすぐに上げるなら、理解していなくても丸暗記するしかない。これではつまらないし、すぐに忘れてしまいます。学力を身につけるには、その子が理解できるところまで戻って積み上げていかないといけないのです。

基礎から始めれば、学力は必ず身につきます。
時間がかかる場合もありますが、親御さんが信じて見守ってあげることが大事だと思います。
――――地頭が悪い子は、なかなか学力も伸びないのではないかと思うのですが……。
いいえ。そもそも、勉強に「地頭」は関係ありません。

坪田塾では、「どんな子でも、勉強はできるようになる」というのを講師全員が信じています。でも、生徒本人と親御さんが信じていないというケースが非常に多いんですよ。

実際に、勉強ができない子の多くは、こちらが驚くほど「自分はバカだ」と思い込んでいる傾向があります。

講演会などに行くと「私、ビリギャルよりビリなんです。偏差値も低くて。どうすればいいですか」と相談してくる子がよくいるのですが、成績を見せてもらうとたいていビリじゃない(笑)。中には、偏差値60を超えるような子だっています。

それなのに、親や先生に「あなたはダメだ」と言われたり、友達と比べて落ち込んだりして、自己肯定感が低くなっているんです。

「褒める」よりも「客観的フィードバック」を

――――そのような子を伸ばすには、褒めるのが一番なのでしょうか?
僕はよく「褒めて伸ばしているんですね」と言われるんですが、実は、褒めているわけではないんですよ。

というのも、「昨日よりもいい点数になったね」「きみは、暗記がすごく得意だね!」などの言葉は「褒めている」というよりも「事実を客観的にフィードバックしているだけ」なんです。

人間は、フィードバックされるとより良くなろうとする生きものです。

世の中でもっとも客観的に即、フィードバックしてくれるもの。それは鏡です。
鏡を見て顔にゴミがついていれば取るし、寝ぐせがあれば直しますよね。つまり、客観的にフィードバックされることでよりキレイになろう、カッコよくなろうとするわけです。

坪田先生インタビューの画像

以前、こんなことがありました。
とても反抗的な男子生徒に「このテストをやってみて」とテストを渡したら、ペンを持って数秒考えたものの、ペンをポイッと捨てて足を投げ出してしまった。
「ちゃんとやりなさい!」と怒りたくなるところですよね。

でも僕は「きみは、ペンを持って少なくとも5秒ぐらいは考えようとしたよね。それだけで少しは前向きにやろうって思ったってことだよね」と言ったんです。

すると、彼は「先生、おかしいよ。それって怒るところでしょ?」と驚いた。
でも、まったくやる気がなければペンすら持たないはず。だからこそ、そこをフィードバックしてみたんです。

このように、どんな小さなことであっても「本人が気づいていない良いところ」を見つけ、フィードバックをひたすら続けることで、生徒は「頑張ってみよう」という気になっていくのです。
――――フィードバックする上でのポイントは何でしょうか?
最も重要なのは、「主観を挟まないこと」です。

たとえば、歯医者さんが「虫歯が3本あります。神経まで進んでいますね。抜歯するので治療には時間がかかります」と患者に伝えるのは、客観的フィードバックです。

一方「本当に歯が汚いですね。歯磨きサボっているでしょう? そのくせ検診も受けずに放っておくからこんな大ごとになるんですよ」なんて言われたら、その歯医者にはもう行きたくなくなりますよね。

でも、多くの親御さんが後者のように主観でフィードバックしてしまっている。

机に向かう姿勢が悪いのが気になる時「なんでそんなに背筋が曲がっているの!?目が悪くなるし背だって伸びなくなるわよ!」なんて言っていませんか? 
こう言われていい思いがする人はいないはずです。

ただ一言「背筋が曲がっているね」と事実のみを伝えるだけで、子供は「ああ直さなくちゃ」と、すっと背筋を伸ばすものなんです。

子どもが素直かどうかは「性格ではなく相手による」

―――「素直じゃない子は伸びない」とよく聞きますが、素直じゃない子をやる気にさせるにはどうすればいいのでしょうか?
よく「ビリギャルのさやかちゃんは素直だったから伸びたんですよね。うちの子は素直じゃないから」と言う親御さんがいます。
でも、素直かどうかは子どもの性格ではなく、相手によって変わるもの。

実際、さやかちゃんも、僕やお母さんに対しては素直でしたが、お父さんや学校の先生に対してはかなり反抗的でした。

子どもは、自分のことを理解してくれている人や理解しようと努めてくれている人に対しては素直になりますが、理解しようともせずに頭ごなしに意見を押し付けてくる人には反抗的になる。


「タブレットで勉強なんて邪道。ひたすら書いて暗記しなさい」とか「お母さんの時代の受験は〇〇だったんだから、あなたもこうしなさい」などと、現在の教育の常識や制度を分かろうともせずに自分の経験と価値観を押し付けるのは害悪でしかないのです。

親の「大丈夫?」で子どもが不安に

――――親が良かれと思ってかけた言葉が逆効果になってしまうことがあるのですね。
きっとたくさんあると思います。

たとえば、親御さんがよく言いがちな「受験、大丈夫そう?」「次のテスト、大丈夫?」という言葉。

たとえ勉強ができる子であっても受験やテストには不安を抱えています。「大丈夫!」なんて自信満々に言えるわけがない。

親御さんとしては自分の不安を解消したくて聞くのでしょうが、子どもは「これで大丈夫なんだろうか」と不安になり、それを見た親御さんもますます不安になる、という悪循環しか生まれません。

また、「サボらないようにずっと見てるから」などと監視すると、子どもはかえって集中できなくなります。

「信じて見守ってくれている」と子どもが感じられるような環境を親御さんが意識して作ってあげてほしいと思います。
―――では、子どもに信頼される親になるには、どんなことから始めればいいのでしょうか?
まずは、子どもが好きなことに興味を持ってあげてください。

アニメ好きの子なら、「どんな作品やキャラクターが好きなのか」聞いてみたり、実際に作品を見るなど、子どもが好きなものについて知ってみてほしいと思います。
「そんなものばっかり見て!」と頭ごなしに怒る親御さんがいますが、それは自分がアニメについて知らないから「アニメ=くだらないもの」と決めつけているだけです。

実は僕は、日本中の先生と呼ばれる職業の人の中で日本一ジャニーズに詳しいと自負しています。
というのも、女子中高生はジャニーズの誰かしらのファンであることが多い。彼女たちの好きなタレントについて知ろうとするうちにいつの間にか詳しくなっていたというわけです。

ある時、生徒が『KAT-TUN』の亀梨和也さんのファンだというので、「Tom likes to play tennis.」という英文を「Mr.Kamenashi likes to play tennis. 」にしてみたことがあります。
すると、その子は喜んで「でも先生、亀梨くんはテニスじゃなくて野球が好きなんだよ!」と返してきたんですよ。
トムを亀梨さんに変えた瞬間に、英文がその子にとって意味を持ったんです。


好きなものを例に入れるだけで子どもに響き、やる気が生まれる。
そのことを親御さんにも知ってほしいと思います。

きょうだいであっても別の人間。タイプ別の接し方を

――――中高生の子であっても、親がサポートできることはあるのですね。
もちろんです。
もっと言えば、親御さんには「子どもをどうしたいのか」を考える前に、「自分がどうするのか」をぜひ考えてもらいたいですね。

そのためには、自分がどのような子育てをしてきたのかを客観的に把握することが欠かせません。
ご夫婦で話し合ったり、周囲のママ友に「この子にどのように接してきたのか」を聞いたり、子ども自身に「あなたはどう感じていた?」と、尋ねてみてください。

たとえ痛いところを突かれるような話であっても「親としてここで本当に変わりたいと思っているから、正直に教えて」と冷静に聞くべきです。
それを箇条書きで良いので、目に見える形に表してみる。

その結果、自分が良かれと思ってやってきたことでも、子供を苦しめたり、やる気をそいでいると感じたなら、潔く改めるべきではないでしょうか。
――――なるほど。ですが、同じ育て方をしているのにきょうだいで差がある場合はどうでしょうか? 
「同じように育てているのに上の子は優秀、下の子は成績が悪い。だから、下の子が勉強ができないのは私のせいじゃなくてこの子のせい」という親御さんがいるのですが、これも間違った認識だと僕は思います。

なぜなら、「同じように育てているからこそダメ」なんです。
同じ親から生まれた子といえども、別の人間。

上の子にとっては効果的だったことでも、下の子にとってはやる気をそぐ原因になることもあるので、子どものタイプによって接し方を変えることが重要です。

子どもがどんなタイプなのかは、http://apps.amwbooks.asciimw.jp/biz9type/で診断できます。


また、各タイプに応じた接し方については、ぜひ拙著『人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書』を参考にしてみてください。

塾講師が頑張っても、親が変わらなければ子どもは伸びない

――――塾選びも子どものために親ができることの一つです。良い塾の選び方を教えてください。
見学に行った時に、「親は何をするべきか、子どもは何をするべきか、塾は何をするのか」と、3者の役割分担を提示してくれる塾が良いでしょう。
親御さんにとっては耳の痛い話をされるかもしれません。
ですが、それも含めて本質的な解決方法を提示してくれる塾こそ信頼できる塾なのではないでしょうか。
――――「塾にすべてお任せ」というスタンスではダメなんでしょうか?
端的に言うと、塾の講師がどんなに頑張っても、親と子、両方が変わらなければ成績は伸びません。
ですので、「塾に入れたら親が何もしなくてもラクラク成績を伸ばしてもらえる」という考は改めましょう。

小学生ならまだしも、中高生になるまで勉強の習慣がついていないというのは、習慣化すべき時期に親子ともどもサボってきたということなのです。
たとえば、歯磨きの習慣がなく虫歯だらけの子がいたら「親はなぜ歯磨きの習慣をつけさせなかったのだろう」と思いますよね。
勉強だってそれと同じこと。

その今までのツケをお金を払って他人に解決してもらおうとしても、なかなか難しいのが実情です。

一方で、親御さんが「変わらなければ」と気づいたなら、それは大きなチャンスと言えます。
「今さらもう遅い」などと考えずに、ぜひ親子で生まれ変わるきっかけをつかんでほしいと思います。
――――坪田先生、ありがとうございました。

公開日:2019.08.29

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