このインタビューは、明治大学付属中野八王子中学校さんの1分間メッセージをもとに、お聞きしたお話を「編集後記」としてまとめたものです。ラジオ番組内ではお伝えしきれなかった明治大学付属中野八王子中学校さんの魅力を皆さまに感じていただければと思います。

7万坪の広大な敷地と豊かな自然が最大の魅力
―― 1分間メッセージのお話で、学校の敷地の広さは約7万坪(東京ドームに換算すると約5つ分)を超える広さと聞いて驚きました…!本校の魅力はなんといってもこの豊かな自然と広々とした環境、そしてこの中で何もかもが完結する利便性だと思います。部活動を例に挙げますと、野球部なら、授業後に教室から出て1分もしないうちに専用グラウンドに到着し、練習を始めることができます。

―― 敷地内に専用の野球場がある学校はなかなかないと思います。
この野球場は、東京都高等学校野球連盟の春季・秋季大会の公式戦でも使われています。日々この専用グラウンドで練習ができる恵まれた環境を活かし、本校の野球部は――高校からの単願優遇(スポーツ)での入学は毎年5人以内ですが――都大会でベスト8、西東京大会決勝に2度勝ち進む実績を残しています。
―― 野球場だけでなく、全天候型・400mトラックを備えたグラウンドでは陸上・サッカー・ラグビーもできますし、テニスコートもあります。運動が好きなお子さんには嬉しい環境ですね。

本校は、明治大学付属校3校(明治大学付属明治、明治大学付属中野、明治大学付属中野八王子)の1校で、最近では約9割が推薦で明治大学に進学できるようになっています。また、推薦入学資格を保持したままさらなるチャレンジができる「国公立大学併願制度」も設けておりますので、これらの点を親御さんからご評価いただくことは多いです。
ただ、中学・高校の大切な6年を過ごすのはやはりお子さんですので、お子さん本人が「ここが気に入った!ここに通って6年間を過ごしたい!」と感じるかどうかが、受験や進学を決める上で一番大切だと私たちは考えています。
―― 1分間メッセージで「ぜひ一度明大中野八王子にお越しになってみてください」とおっしゃったのは、親御さんだけでなくお子さんも、という意味なのですね。それにしても、7万坪の広さとはどのぐらいのものなのか、想像するのが難しいです…。
屋上にあがって全景を見てみましょうか。
(→ 屋上に移動して、校庭を眺めてみました)
―― 校庭の全景を撮影するのは無理でした。収まり切れません…!
私たちも、学校の全体像を撮影するためにはドローンを使わなくてはなりませんでした(笑)。グラウンドのまわりにある森も本校の敷地です。一番高い所からはスカイツリーや新宿のビル群も見えるんです。実は私、本校の中でこの屋上が一番好きな場所なのです。太陽光パネルを置いていることもあって普段生徒は入ることができない場所ですが、ここに来て空を見上げると本当に何ひとつさえぎるものがなく、爽快な気持ちになります。
―― 1分間メッセージで「環境が人をつくる」とのお話もありましたが、本当に、この環境ならのびのびとした生徒さんが育ちそうですね。
スクールバスが規則正しい生活リズムを生み出す
「環境が人をつくる」の「環境」には、実は自然環境だけでなく生活全般との意味も込めています。―― 生活全般、ですか?
学習習慣を身につけて着実に学力を養いつつ部活動にも積極的に取り組む、そうしたけじめのある学校生活を送る上で本校のスクールバスは大きな役割を果たしています。
本校は駅からスクールバスで25分のところに位置しています。生徒はほぼ全員、八王子駅と拝島駅の近くにあるバス停からスクールバスを利用して登校します。専用バスは全部で25台ありますので、バスを利用するすべての生徒が座って通学し気持ちよく学校生活を始めることができます。
朝少し早めに家を出て、下り方面の電車でゆとりをもって最寄り駅に到着。スクールバスでも座って登校し、中学生は食堂、高校生は自習室で学習をするといった一連の行動が、朝練のように生活習慣となっている生徒もいます。本校では朝のホームルームの時間を長くとり、その時間に中学生も高校生も読書や小テスト(英語・国語・数学)を実施していることが、基礎学力の向上につながっています。

部活動もスクールバスのダイヤに合わせて行われますので、活動を終えてバスに乗って帰宅し(*)、自宅で学習をし、明朝のバスに間に合うように就寝する。入学後はこのような生活になっていきます。
(*) 下校用最終スクールバスは18:10発になっています。
―― バスの時間が決まっていれば、帰宅時間もわかって親御さんも安心ですね。ところで、朝、電車が止まったり遅延した場合はスクールバスは利用できないのでしょうか?
本校では敷地内にバス会社さんの出張所があり、バスも運転手さんも常駐していますので、電車の遅延や運転見合わせがあればそれに合わせてバスを運行します。天候の悪化等の理由で急遽下校時間が早まった場合には生徒をスムーズに帰宅させることもできます。その他、生徒たちの早退や遅刻に合わせたバスを運行したり、通院などの理由で帰宅しなければならない生徒がいれば1人のためであってもバスを出したりと、柔軟に対応しています。
―― 安心して利用できそうですね!
親御さんも生徒自身もそのように感じてくれていると思います。入学前は通学に対するご心配の声がたくさんありますが、入学後はまったく上がりません。念のために路線バスの無料チケットも渡しているのですが、ほとんどの生徒たちは1枚も使うことなく、日々スクールバスで登下校しています。
こうして、スクールバスが刻む穏やかなリズムの中で「授業」と「部活動」と「家庭」の生活がしっかりと回っていくようになると、生徒の生活は安定し、心も体も整っていきます。心身の健全な成長と学力を育むベースになるのは、規則正しい生活。その鍵を握るのが、本校ではスクールバスなのです。

―― 広々とした自然環境の中でたっぷりと陽の光を浴びて、規則正しい生活を送る。そんな毎日を過ごすことは、心にも良い影響がありそうに思えます。
何十年と教壇に立っていてつくづく感じるのは、特に中学生の時期は、素直な生徒ほどよく伸びるということです。この点、本校は、素直な生徒たちを育てる環境としてうってつけであると思います。
このようにして生活を整えながら、自分の内側から湧いてくる思いに耳を傾け、やりたいことを見つけていきましょう、どんな時代のどんな社会状況にも対応できる力を養っていきましょう――というのが、本校の考え方です。
外から火をつけるのではなく内側から火を灯す
―― どんな時代のどんな社会状況にも対応できる力。それはどのようなものなのでしょうか。本校では、建学の精神である「質実剛毅」「協同自治」に基づき教育活動を行っています。質実剛毅とは「表面的なものや偏った考えに惑わされることなく、何が一番大切なのか、物事の本質を追求しようとする姿勢と、意志の強さ・くじけない心」。協同自治とは、「周囲の人々と支え合い、互いの考え方を尊重し合いながら、協力して物事を成し遂げていく力」を意味します。中学生には分かりやすいように「みんなで仲良く 正直に 真面目に 精一杯努力しよう」という合言葉で伝えています。
――「みんなで仲良く」は、協同自治の意味から考えますと、「嫌なことでも我慢してみんなに合わせましょう」といった意味ではなさそうですね。
お互いの違いを認め合い、尊重し合い、支え合っていきましょう、との意味です。中学1年生のフロアに掲げてあるこの言葉を見ていただくとそれがわかると思います。

もちろん、これは難しい目標とわかっています。私は今、中学1年生を担当しているのですが、本当に毎日大変です(笑)。この年代は大人と子供が混ざっているようなところがありますから、無邪気だったり優しかったりするところもありつつ、自我が強くてぶつかり合うところも多くあります。それを私たち教員がその都度声をかけ無理やり介入してすぐに整えるのではなく、中学の3年間をかけてじっくりと見守って育てていく、そんな方針で臨んでいます。
―― そういえば先ほど「内側から湧いてくる思い」とのお話がありました。
外からつけた火――たとえば競争を強いたり、不安感をあおったりしていくようなやり方で芽生えた「やる気」は長続きしないと私たちは考えているのです。中学受験を経て入学した生徒の中には競争という意識を強く持っている生徒も一定数はいますが、入学後はその意識は切り替えていって欲しいと話しています。
ただ、これを教員が言葉で言うとどうしても説教に聞こえてしまいます。ですからそこは、体育祭や合唱祭といった学校行事を通じて学んでもらうところも大きいですね。合唱祭なら、歌が苦手な子もいる中で、どうやってクラスとしてまとまりを作り、美しい歌声を紡いでいくか。中1の生徒たちは、こうした姿勢を先輩の姿から学んでいきます。
行事や学校生活の中で、同級生と、あるいは先輩たちと互いに刺激し合うことで、生徒たちの内側に火が灯っていく。そのような教育があって良いと私たちは思っているのです。
生徒たちには意識的に自律/自立を促していく
―― 生活リズム同様、協同自治の意識もゆっくり育んでおられる印象を受けました。私自身、生徒に対して「初めから教師に本音を言えなんて無理な話なのだから、そんなことはしなくていい。『私を信じろ』なんてことも言わないから、ゆっくり信頼関係を作っていこう。そのほうが長持ちするよ」と伝えています。
―― かなり本音で話しておられるのですね…!
本音で話さなければ、子どもは見抜きますよ。子どもの直観は鋭くて、教師がタテマエだけでものを言っている時には敏感に見抜き、違和感を覚えますから…。だからこそ生徒にすり寄るのではなく、上手に噛み合うようにしていくことが大切なのだろうなと思っています。
―― 生徒さんにおもねるわけでもなく、先生が上から接するわけでもなく…ということでしょうか。
正解を与えることは卒業までに極力少なくしていかなければいけないと考えています。私たち教員は――これは親御さんも同じだと思うのですが――いつか子どもたちの目の前からいなくなる存在ですので、彼らが、私たちがいなくても力強く生きていける状態を作ってあげなくてはなりません。ですから本校では、学習面においても常に生徒たちの自律/自立を意識して行っています。教員が意識して少しずつ「生徒離れ」をしなければ生徒も「教師離れ」をしない、そのあたりは親子関係と同様なのではないでしょうか。
―― 親のような気持ちで生徒さんに接していらっしゃることが伝わってきます。
実際、そのように感じている部分はあります。私は昨年、高3の学年主任をつとめたのですが、中1の時あんなに幼かった子たちがこんなに大きくなり、立派なことを言うようになった、それを見ると「いやあ、いいねえ」という気持ちしか湧いてきません(笑)。まさしく親のような気持ちですよね。
生徒一人ひとりの原点になっていることが何より嬉しい
―― 豊かな自然環境、ゆっくりと刻まれる生活リズム、自立をうながしつつやさしく見守る先生方、生徒同士でゆっくりと育む協同自治の意識…その中で生徒さんたちは自分の内側に目を向け、心の中から湧いてくる声に耳を傾け、やりたいこと、目指したいものを見つけていくのですね。そのとおりです。私たちは「進路」と「進学」はイコールではないと考えています。前者(進路)は、つまりは「いかに生きるか」ではないかと。そしてそのベースには「自分とは何か」を他者や社会、環境との関係性の中で問い続けることがあるのではないかと、そのように思うのです。それが、先ほどお話しした「どんな時代のどんな社会状況にも対応できる力」になっていくのだろうと。
―― ありがとうございます、少しずつわかってきました。
本校の「学校案内」では卒業生の座談会の様子を紹介しています。年齢も性別も活躍するフィールドも異なる卒業生4人がそれぞれの在校中のことを振り返って話をしてくれています。その中で卒業生たちは本校を「初心に帰れる温かい場所」「自分の土台を作ってくれた場所」であると話してくれました。このような言葉が出てくることは、私たち教員にとって何よりの喜びです。

―― 生徒さんたちにとって「もうひとつのホーム」になっているのですね。
そう感じてくれている生徒が多いようで、嬉しく思います。縁あって本校に通ってくれた生徒たちにとってかけがえのない場所であったと感じてもらいたいですね。
―― 1分間メッセージでも「卒業後、私の原点がここにあると言ってもらえるような教育をしていきたいと考えています」とおっしゃっていました。
そうした思いもあって、学校説明会等の際には、「学校案内」のこの4ページ(卒業生の対談)をぜひ読んで欲しいとお伝えしています。進学実績のような「数値」が先にある学校さんもありますが、私たちは、こうした人たちが育っているということをまず知っていただいて、進学実績等はその結果としてあとからくるものとお伝えしています。
―― 本日はありがとうございました!
追記:
冒頭で「敷地内で何もかもが完結する利便性」とお話いただいた内容を実証するような、明治大学付属中野八王子中学高等学校さんの施設内の一部をご覧ください。

カフェテリアタイプの生徒食堂は2018年9月にリニューアルを終えたばかりの明るく広々とした空間です。朝や放課後には学習スペースにもなる大きめの机と椅子が用意されています。12時5分に午前の授業が終わり、10分後にはこんな様子に。中学1年生の教室は食堂から一番近い場所に配置してあるので、中学生も安心して利用できそうです。


公開日:2019.12.04
ジュリー
田舎ならではだな。ただ社会出たら都心に通勤するんだから、学生時代はこういうところがいいかもね。中高も都心のビル群というのはさすがにね。
2019/12/05 13:35