そんな英語検定の級の取得は、中学受験にどのように影響するのでしょうか。英検の概要と、英検各級が受験にどのような効果をもたらすかについてまとめました。
英語検定とは
概要
英語検定は中学生・高校生・大学生向けに行われる英語の試験で、俗に「英検」と呼ばれています。また小学生が受験するのは「英検Jr.」(英検ジュニア)と言い、「英検」とはちょっと違う表現になっています。英検は5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級の7段階になっていて、「1次試験:筆記試験とリスニング」、「2次試験:スピーキング」の内容になっています。
試験は年に3回行われ(学校や塾で受ける場合もあり)、2014年度からはコンピュータを使って受験する「英検CBT」という受験方法もできました。
この「英検CBT」は2018年8月にリニューアルし、実施規模を拡大しています。
問題形式や合否判定のしかた、合格によって得られる資格は従来型の英検と同じです。
また「英語外部検定利用入試」にも利用でき2020年度以降は「大学入試英語成績提供システム」の対象になります。*
また英検で特に成績が良かった方には「成績優秀者制度(個人賞・団体賞)」などがあり、文部科学大臣賞以外に、アメリカ大使、カナダ大使、オーストラリア大使、ブリティッシュカウンシル駐日代表などからも賞が授与されます。
各級のレベル感
英検 | 必要単語数 | レベル |
5級 | 600語 | 中学1年生 |
4級 | 1,280語 | 中学2年生 |
3級 | 2,580語 | 高校受験 |
準2級 | 4,080語 | 高校2年生 |
2級 | 5,780語 | センター試験 |
準1級 | 7,360語 | 難関大学 |
1級 | 10,030語 | 上級 |
まず5級から3級については、英語の基礎を身につけているかを試すのが目的で、5級は中学校1年生レベルになっています。
出題内容は、現在形の肯定文、否定文、疑問文、命令形、現在進行形などがあげられます。
文法の基本SVO(主語+動詞+目的語)の肯定、否定、疑問の形をしっかりここで理解しましょう。
4級は中学校2年生レベルで、過去形、未来形(will、be going to)の肯定文、否定文や疑問文、命令形、canやhave toなどの助動詞、比較級があげられます。
また4級からは長文問題も出題されます。
3級は中学校卒業レベルで、出題内容は、現在完了形の一連の文法、受身形、使役系、so that~, too~ to…構文などです。そして3級からは面接が加わるのが大きな特徴です。
準2級は高校の標準英語レベルで、今まで習った文法を基にした応用問題がでます。どれだけの熟語を覚えているのかがポイントになります。
2級は高校卒業レベルで、読解力が合格のカギになっています。選択肢にあげられている単語の意味や空欄と前後に合う熟語がわかっていても、文章全体を理解していないと間違ってしまうといった問題が多く出されます。
準1級は英語環境にいても日常では不具合は感じないレベルで、一般常識や義務教育がベースの問題になっています。つまり英語がわかっても一般知識がないと、解けない問題が多いです。
1級はネイティブレベルで、長文はTOEIC900点以上を目指す参考書のレベルと同じくらいになります。
小学生で目指すのは3級
中学受験には英語がないので、それほど力を入れなくても良いとお考えの方もいるでしょうが、「英検3級」を取得しておくと、中学生になってから随分楽になり、他の教科の学習や部活動などにかける時間が多く取れるようになります。また公立中学校の場合でも、通知表と内申書に記載されるので、3級を目指すのが良いかと思われます。
英検を入試に取り入れている学校
都内で英検を受験に使う学校
都内で英検を入試に取り入れている中学校を紹介します。郁文館中学校(東京都文京区)
こちらでは進学クラス・特待生の入試科目が「国語」「算数」「英語」の中から2つ選択するスタイルになっていて、「英検4級」以上から点数加算されるようになっています。
この学校の英語は大問6つのうち半分がリスニングなので、英検を持っているとスムーズに正解できるはずです。
工学院大学附属中学校(東京都八王子市)
この学校は英語教育が非常に盛んで、入試も英語と面接の一般入試というスタイルになっています。そのため英検を持っていると優遇されることが多いようです。
山脇学園中学校(東京都港区)
こちらでは「英検3級」以上で学科試験免除の他、英検のレベルによっては他の科目の合格ラインを優遇されるなどのメリットがあります。
城西大学附属城西中学高等学校(東京都豊島区)
この学校では「英検3級」以上で推薦入試が受けられ、適性検査でも加点されるというメリットがあります。
英検取得の効果について
もし志望校の受験科目で英語が選択できるようであれば、英検の取得は受験にとても有利になります。例えば「点数加算」や同点の場合に考慮される「判定優遇」、さらに「学科試験免除」のケースもあるので、ぜひ取得しておきたいものです。
公開日:2019.12.29