中学受験は親子の受験と言われるものの、子供の意思や肉体面に気を配りながら進めないと、大きなトラウマを残すきっかけにもなりえます。
この記事では、教育虐待の現実と、どんな声掛けや行動が子供を支配してしまうのかについてまとめました。
教育虐待とは
教育虐待は親が「子供のため」といいながら、行き過ぎた行動を繰り返すことであり、最悪のケースではお子さんを死に至らしめてしまうということもあります。教育熱心な親御さんはたくさんいますが、熱心さがエスカレートすると自分が気づかないうちに子供を苦しめるようになって、本来の目的であった成績を上げることや受験などから遠のいてしまい、子供にとっては苦痛でしかない状況に陥ってしまいます。
家庭での親子関係はどうしても親が優位になるので、子供の年齢が小さいほど親に言われたことを守ろうと頑張ります。
また基本的に「親には逆らえない」という思いが強いのも、虐待にまで進んでしまう要因にもなっています。
はじめにもお伝えしましたが教育虐待は単なる虐待と異なり、起こるきっかけが「中学受験」であるというのが特徴です。
子供の将来に期待するあまり、その子には少し難しい志望校を選んで、早朝から深夜まで勉強させるのは、小学生だけではなく大人でも辛いことだと思います。
でもそこで出てくるのが「子供のため」という言葉で、子供に良い環境を作ってあげていると錯覚しているのが問題です。
2011年12月には「日本子ども虐待防止学会」で、「子どもの受忍限度を超えて勉強させるのは「教育虐待になる」として発表されました。
これも教育虐待
①言葉
日常生活の中で何気に使っている言葉でも、子供にとっては苦痛になるものがあります。例えば「頑張って」とか「やればできる」のような言葉でも、顔を見るたびに言われるとかなりのストレスになります。
それが虐待のレベルになると、叱りつけたり怒鳴ったりして子供を自分の思った通りにさせようとします。
さらに脅しの言葉も使われるようになると、もう限りなく犯罪に近く、きっと恐怖で逃げたくて仕方ないけど逃げられないと諦めてしまうのではないかと思われます。
また言葉によるダメージは相当大きく、その場にはもう親はいなくても、頭の中で言われた言葉がずっと残ったままで、いつまでも苦しめられているのが特徴です。
②身体的
中学受験をするのは小学生ですから成長期でもあります。そんな大事な時期に睡眠時間を削って長時間の勉強をさせるといい訳がありません。
ましてや子供を思い通りに動かそうと、殴ったり蹴ったりするのは論外です。
ですが現実には、子供を刺してまで言うことをきかせようとする親もいるらしいのでとても悲しいことだと思います。
教育虐待を防ぐには
中学受験に向かって子供の学習の管理をするのは親としては当たり前なのですが、親が自覚しないうちに教育虐待が起こってしまうので、自分の子供に対する行動を振り返ってみる機会を度々持つことはとても重要なことです。そして子供は自分の意のままに動くものではないということ。
自分の考えとは異なる生き方をしても良いということ。
そして自分とは違う人間であるということなど、当然のことが判断できなくなっていないかどうかチェックしましょう。
子供の成績が思うように伸びない時は、子供の気合が足りないとか、もっと勉強させなければいけないなどの誤った考えを持っていないかといった点も見直さなければなりません。
また周囲の人々も異常を察したら、早いうちに公的機関や専門窓口などに相談すれば、子供の救出を手助けできると思います。
親が子供とどんな向き合い方をすべきか
中学受験をすると決めた時は、きっと本当に子供のことを考えていたのだと思いますが、いつの間にか子供の中学受験が、自分の世間体や自慢のためという目的にすり替わっていくのだと思います。毎日の生活では親子が顔を合わさない日はないので、中学受験に振り回されない過ごし方を考えることはとても重要なことです。
朝の挨拶をした時に子供の表情や声を通して、夜はぐっすり眠れたのか?疲れは残っていないか?などを察したり、テストの結果に一喜一憂するのではなく、できたことはしっかり褒めてあげて、思うような結果が出なくても決して叱らないことが基本です。
また子供を自分の所有物扱いせず、人格を認めることは、中学受験に限らず大人になっても共通することなので、肝に銘じておくことはとても大事なことです。
まとめ
中学受験はメリットが大きい反面、どうしても子供に負荷をかけてしまうというデメリットがあるのも現実です。良好な親子関係で乗り越えるのが一番望ましい姿ですし、無事志望校に合格できれば喜びを分かち合えることもできます。
今まさに受験目前の子供を持つ親御さんは、もう一度自分たちのあり方を振り返ってみてください。
公開日:2019.12.30